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2011/02/07

日本のオペラを聴くというのは義務か素養か物好きか(2/5)

この週末はクラシック音楽で過す。土曜日に初台の新国立劇場で木下順二作、團 伊玖磨作曲のオペラ「夕鶴」を観にいった。この作品は言わずと知れた日本を代表するオペラ作品であるのだ。他に並び立つ物がないくらい日本ではダントツでポピュラーな作品で今回の新国立劇場での公演を機に調査したところ1952年の初演以来通算公演数が800を超えていたことが判明したとのことである。な訳で、私個人としても日本人なら1回は観ておきたいと思っていた作品である。とは言うものの、日本人たるもの観にいきたいものなんてのは私にとってもそれこそ五万と存在する。オペラやクラシックコンサートは生観劇するくせに歌舞伎や能、狂言、文楽といった日本伝統芸能の舞台にはとんと足が向いていない。また、同じ音楽であるけれど、ジャズやロックやらポップス系といったコンサートにも無縁な状態だ。と、本当なら物好き人間の素養全開であたるべきところだが、そこには資金力と暇の多少という制約があるわけだ。とりあえず「一つ空白は埋めれたよ。」と。
当然毎度ながら予習など一切せずに聴きに行った。と言っても「夕鶴」の作品自体は日本人なら子供の時期に知るであろうお話なのであらすじは判っているので、興味は音楽の方に向かった。で、そこで繰り広げられた舞台は1幕、登場人物はソリスト4人(テノール1、バリトン2、ソプラノ1)に児童合唱で2管編成の少しこじんまりとしたオーケストラでのある意味最小規模でのオペラだった。1950年代の日本の事情を考慮したらこれが公演できる厳しい条件だったのだろうと想像できる。まず公演できることが最優先だったのだろう。
この日の舞台は簡素ながらも太陽光と雪のコントラストが美しい情景を作り出していた。ソリスト4人も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれて歌としても演劇としても非常に満足するものであった。
人間の豊かさへの欲求の業とも言える悲しさを鶴(つう)を通じて訴える作品であるが、その中でも印象的だったのが「無垢だったあなたがどんどん欲のある人達と同じになっていく」「お金の話をする与ひょうの言葉がわからなくなる」と嘆く「つう」の歌であった。これには意図的であったのだろうか「つう」の夫である「与ひょう」をそそのかす百姓である「運ず」と「惣ど」等との間で交わされる「口語での普通の会話」(お金の話)に「つう」は理解を示さず。金の話ではない「歌唱」においては会話が成立するという伏線も張っていたような感じがした。
と言いながらも正直な感想として予想外にも音楽的に強い印象を残すことができなかった。いや、音楽的には民謡を巧みに取り入れた美しい調べで溢れていたのだが(その意味ではミニプッチーニだったのだが)それがあまりにも連続すぎたのかな。それとも何かしら特筆するアリアがなかったせいかもしれない。いずれにせよ結末まで一本調子で音楽が進んでしまったのがちょっと残念だった。なんか自分の感性がずれているのかもしれん。
しかし、物語の普遍性、音楽の美しさから日本の代表オペラであるということには全くの疑い無しであることに納得した次第である。で、妄想する訳である。この作品が欧米の一流どころと言われるようなオペラハウスで上演されるような日が来るのであろうかと。もちろん海外で日本語のオペラという障害があるのでそうそうはできるはずはないであろうし、日本国内であっても海外の作品の方が遥かに頻度高く公演されている現実から見ても難しい話である。でも、新国立劇場で800回を超えた記念としての展示がされていたのだが、当初から英語訳、独語訳を前提としていたスコアがあり海外での初演自体は早々と行なわれていたという記録が残っていた。それだけにあのMETやウィーンやミラノなんかであの与ひょうの悲しいまでの愚かさとつうの美しいほどの悲哀を是非海外の観衆に魅せてみたいと思う。で、それをMETライブビューイングなんかで悠々と観劇してみたいものだ。なんてね。

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